データ収集デバイス「YUBI」を活用した実世界ロボット操作データを公開し、共通の実機環境で国際コンペティションを実施
AIRoAは、2026年11月9日~12日に米国テキサス州オースティンで開催されるロボット学習分野の国際会議「Conference on Robot Learning 2026(CoRL 2026)」において、ワークショップ「The UMI Arena: From Handheld Devices to Real-World Policies」の開催が採択されたことをお知らせします。
本ワークショップでは、手持ち型デバイスを用いたロボット操作データの収集と、そのデータから学習したロボット制御方策(ポリシー)に焦点を当てます。共通のタスクと実機環境のもとで、ポリシー、データ収集デバイス、研究成果を横断的に検証し、実世界ロボット操作における評価方法の標準化を目指します。
中心企画となる「UMI Arena」では、参加チームが開発したポリシーを共通の実ロボット環境で評価する国際コンペティションを実施します。コンペティション参加チームによるモデル開発を支援するため、「YUBI(※1)」を活用したAIRoAのデータ収集基盤を用いて収集した実世界ロボット操作データの一部に加え、リファレンスポリシーモデルや学習コードを参加チームに限定して公開(GitHub上での限定公開)する予定です。
また、UMI型データ収集デバイスを実際に操作・比較できるハンズオン展示と、関連研究を募集する論文・ポスターセッションを実施します。データ収集からモデル学習、実機評価までを一体的につなぎ、世界の研究者・エンジニアが共通の課題に取り組むための国際的な場を構築します。
招待講演者には、ロボット学習・実世界ロボット操作分野の第一線で活躍するShuran Song氏、Andy Zeng氏、Hao-Shu Fang氏、Yang Gao氏を迎える予定です。

背景:拡大するUMIエコシステムと評価基盤の必要性
ロボットに多様な作業を学習させるには、大規模な操作データが必要ですが、ロボット実機を用いた従来のデータ収集には、設備や運用面で大きなコストがかかります。
こうした課題に対し、ロボット本体を使わず、手持ち型デバイスによって人間の実演データを収集するUniversal Manipulation Interface(UMI)型の手法が注目されています。現在では複数のオープンソースデバイスが登場し、効率的なデータ収集が可能になりつつあります。
一方、各研究機関が異なるロボット、タスク、環境、評価指標を用いているため、収集したデータや学習済みポリシーの性能を公平に比較することは難しく、データ収集デバイス自体を共通の条件で比較・検証する機会も限られています。
「The UMI Arena」では、共通のタスクと実機環境を用いた評価の場を設け、実世界ロボット操作におけるデータ収集、学習、評価の標準化を目指します。
本ワークショップの狙い
実世界ロボット操作の評価標準化
一般的に利用可能なロボットハードウェア上で、再現可能かつ十分な難易度を持つ評価環境とプロトコルの構築を目指します。
異なるロボット間でのポリシー展開
手先を基準として学習したポリシーが、学習時とは異なるタスクやロボットにどの程度適応できるかを検証します。
データ収集デバイスとデータ品質の評価
デバイスの操作性、器用さ、製作品質、再現性、コストなどを比較し、デバイス設計の違いが収集データや学習後のポリシーに与える影響を議論します。
招待講演を連続して行う従来型の形式ではなく、ライブデモ、ハンズオン展示、参加者投票、ポスター発表、パネルディスカッションなどを組み合わせ、講演者と参加者がともに課題に取り組むインタラクティブなワークショップを実施します。
「The UMI Arena」を構成する3つのトラック
Track 1:ポリシー・コンペティション
参加チームが事前に学習済みのポリシーモデルを提出し、主催者が共通のタスクと実ロボット環境を用いて評価します。
Diffusion PolicyやVision-Language-Action(VLA)モデルなど、モデルの方式を問わず参加できます。すべての参加モデルを同一条件で評価することで、再現可能な評価方法と共通ベンチマークの構築を目指します。
上位チームによる質疑セッションや、優勝チームによる実ロボットのライブデモも予定しています。また、リーダーボードはワークショップ終了後も継続して公開する予定です。
コンペティション参加者への実世界ロボット操作データの限定公開
コンペティション参加者によるモデル開発を支援するため、YUBIを用いて収集した実世界ロボット操作データの一部をコンペティション参加者に限定して公開します。
データには、製造、流通・小売、家庭などの実環境における、接触を伴う多様な操作タスクが含まれる予定です。また、参加者がモデルをゼロから学習しなくても開発に取り組めるよう、リファレンスポリシーモデルや学習コードも提供します。
公開データは、準備状況に応じて段階的に拡充する予定です。具体的な公開範囲や時期は、特設ページで順次お知らせします。
2026年9月までに、約20,000時間規模のデータを段階的に提供する予定です。公開範囲・時期は変更となる場合があります。
※コンペティション参加チームに提供する実世界ロボット操作データは、経済産業省およびNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進する委託事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に向けたデータプラットフォームに係る開発」の結果得られたものです。
Track 2:データ収集デバイス展示
UMI型のデータ収集デバイスを会場に展示し、参加者が実際に操作できるハンズオンセッションを実施します。
各出展者は、デバイス本体、代表的な操作タスク、そのデバイスで収集したデータから学習したポリシーの実行例などを紹介します。
参加者は、操作性、器用さ、製作品質、再現性、コストなどの観点からデバイスを評価・投票します。得票上位のチームによるライトニングトークも予定しています。
Track 3:論文・ポスターセッション
UMI型のロボット操作学習に関する研究成果を募集します。採択論文は、インタラクティブなポスターセッションおよび一部のスポットライトトークで発表されます。
主な対象テーマは、異なるロボットへのポリシー展開、データ品質、ロバストな位置推定、力覚・触覚センシング、巧緻操作、スケーラブルな学習、失敗検出・リカバリーなど。
- 投稿形式:4ページ、非アーカイバル
- 査読方式:シングルブラインド
- 投稿・査読システム:OpenReview
- 発表形式:ポスターおよび一部スポットライトトーク
各トラックでは「Best Policy」「Best Device」「Best Paper」の表彰を予定しています。
ロボット学習分野を牽引する研究者4名が招待講演に登壇
本ワークショップには、ロボット学習、実世界ロボット操作、ロボット基盤モデルなどの分野で国際的に活躍する4名の研究者が、招待講演者として登壇する予定です。
- Shuran Song氏(Stanford University)
- Andy Zeng氏(Generalist Robotics)
- Hao-Shu Fang氏(MIT CSAIL)
- Yang Gao氏(Tsinghua University)
招待講演では、手持ち型データ収集デバイス、実演データのスケーリング、異なる構造を持つロボットへのポリシー展開など、UMIエコシステムの発展に向けた重要なテーマを取り上げます。
各講演のタイトルやプログラムの詳細は、特設ページで順次発表します。
本ワークショップを通じて目指す成果
「The UMI Arena」では、ワークショップ当日の発表やコンペティションにとどまらず、コミュニティが継続して活用できる成果を残すことを目指します。
- 共通の実機環境によるロボット操作ポリシーの評価基盤
- 再現可能な評価プロトコルと公開リーダーボード
- データ収集デバイスを比較するための共通評価軸
- 異なるロボットへのポリシー展開に関する知見
- 再利用可能な実世界データ、ベースラインモデル、学習コード
- データ収集デバイスの開発者とポリシー研究者が交流する国際コミュニティ
今後の予定
以下は現時点での暫定スケジュールです。データの公開範囲や時期、コンペティションおよび論文の締切は、今後変更となる場合があります。
| 採択発表後 | 参加登録、ベースラインおよびツールの公開 |
| 2026年8月中旬 | 参加者向けに初期データの先行公開 |
| 2026年9月上旬以降 | 公開データを段階的に拡充 |
| 2026年9月 | 約20,000時間規模までデータを拡充(予定) |
| 2026年9~10月 | 共通の実ロボット環境による評価 |
| 2026年10月下旬 | ポリシーおよび論文の投稿締切 |
| 2026年11月12日 | ワークショップ開催、受賞者発表 |
※詳細は特設ページで順次発表します。
ワークショップ開催概要
- 名称:The UMI Arena: From Handheld Devices to Real-World Policies
- 会議:Conference on Robot Learning 2026(CoRL 2026)
- 開催日:2026年11月12日
- 開催地:米国テキサス州オースティン
- 形式:半日・現地開催
- 特設ページ:https://umi-arena.airoa.io/
- 主催:一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)
※プログラム、登壇者、データの内容・公開時期、投稿締切その他の情報は、今後変更となる場合があります。
運営実績
本ワークショップの企画運営メンバーは、ICRA 2026ワークショップ「From Data to Decisions: VLA Pipelines for Real Robots」において、共通の実ロボット環境と公開リーダーボードを用いた国際コンペティションを企画・運営し、36チームのVLAモデルを共通条件で評価しました。「The UMI Olympics」では、その経験を生かし、ポリシーの実機評価に加えて、データ収集デバイスの展示・比較と論文セッションを実施します。
※1 オープンソースのデータ収集デバイス「YUBI」
YUBI(Yielding Universal Bidigital Interface)は、人間が物体を操作する際の映像や手先の軌跡を記録する、双腕・巧緻操作向けのデータ収集インターフェースです。
人間の指の動きに沿ってグリッパーを操作できる設計と、VR機器を用いた位置・姿勢計測を組み合わせることで、ロボット本体を使用せずに多様な操作データを収集できます。
ハードウェア設計(トヨタ自動車株式会社 未来創生センター)とデータ収集ソフトウェア(AIRoA)はオープンソースとして公開されており、研究者や開発者がデータ収集環境を再現・拡張できます。
- YUBIプロジェクトページ
https://yubi.airoa.io/ - YUBI ハードウェア設計(トヨタ自動車株式会社 未来創生センター/GitHub)
https://github.com/Toyota/yubi-hw - YUBI データ収集ソフトウェア(AIRoA/GitHub)
https://github.com/airoa-org/yubi-sw